不動産賃貸業というのは
裾野のとても広い産業です。

投資家といえば
巨大なファンド系グループや
外資系の投資家に始まり、

生命保険や投資銀行グループによる
機関投資家がいます。

不動産業者といえば
地場の法人の不動産会社や
デベロッパーなどがいます。

さらに不動産業が本業ではない事業法人も
資産運用や財テクを目的として
賃貸業を行っていますし、

個人でいえば
おじいちゃんやおばあちゃんの大家さんや
医者、士業、サラリーマン、教師にいたるまで
幅広いプレーヤーがいます。

もともと土地のうえに建物を建ててしまうと、
借りる人さえいれば
賃貸借契約書1枚作って
事業がスタートできてしまいます。

きっちり建物や設備が整ってさえいれば
やることと言えば
毎月家賃が入ってくるのを
確認するだけになります。

決して頭脳労働や頭脳産業ではなく
「簡単な装置産業」と言っても
良いのだと思います。

そこに証券化や流動化による横文字、
ペナルティ設定などの複雑さ、
資金調達によるレバレッジのテクニックなどが
混ざってくると
専門色が強くなるのですが、

ベースは
「家賃収入-経費=粗利益」
という単純な計算で成り立っています。

ところが、この大家業・賃貸業には
事業の特徴として
特筆すべきポイントがあります。

それは粗利率が極めて高いということです。

単純な粗利益率は平均して
70~80%超程度になります。

上記に含まれいない経費として、
資金調達をすればこれに金利が必要となりますし、
人件費も当然ながら必要ですが、

低金利時代が続いていますし、
デべロッパーのように繰り返し売買をしなければ
それほどの従業員も必要とせず
人件費も低く抑えることができます。

テナントに移動がなく
長期安定的に満室が続いていれば
広告費もかかりません。

ただ、自己資金がない主体にとって
銀行から相当の資金調達をする必要があり、
その毎月の元本返済が
高額ではあるのですが、

元本返済は金利返済とは異なり経費ではなく
不動産を売却する際に返済した分だけ
現金となって戻ってきますので

やはり利益率が高いことを
実感するところとなります。

70年代~80年代に斜陽産業となった
繊維業界は
こぞって所有していた建物を
賃貸用に転換したり
工場を解体し
商業施設や住宅用に建て替えたりして
不動産賃貸業に参画しました。

土地や建物という資産をもっていた製造業は
資金調達にも苦労することなく
比較的容易にこの高粗利産業に
参画していったわけですね。

その昔、繊維系会社が多数集積していた
大阪市の本町界隈に
「〇〇紡ビル」という名称のオフィスビルが
残っているのはその名残といえます。

新しいところでは、
リテール系販売最大手であるイオングループも
大型ショッピングモールにおいて、
ジャスコやマックスバリュなど
自社のスーパー部門が営業していた空間を閉店し
他社テナントへの賃貸に切換えたりしていますが、

これも実はひそかに自営から賃貸業に
転換しているということができます。

なお、不動産賃貸業は簡単と
伝わったかもしれませんが、
それは良い立地に
土地や建物を持っている場合に
限るということであって、

常に売買を繰り返す専業プレーヤーにとっては
立地の厳しい不動産も
取り扱わなくてはいけません。

ここに競合他社との間で
仕入の競争が働き、
高値買いの価格競争が起きます。

その結果として
高く貸したり
高く売却する必要がある点において
商品としての企画性や
マーケティングが必要である点は
他の産業と同じであるといえます。