いわゆる収益物件(利回り物件・賃貸物件・オーナーチェンジ物件)の取引においては
必ず利回りという指標が必要になります。
投資をする方にとって、
投資対象となる不動産がどれぐらいのリターンが期待できるかを
数値で判断するためです。
前回の続きで、今回は、PERと利回りの関係等についてお伝えします。
普段、株式マーケットでよく見るPERと不動産の利回りは何が違うのでしょうか。
PERですが、
PER(株価収益率)=時価総額÷純利益
=株価 ÷一株当たり利益
で表現されています。
つまり 元本÷果実 のイメージが近いと思います。
また、純利益とは当期純利益であり、
税金等調整前当期純利益から「法人税」などを差し引いたものになります。
一方、不動産の利回りのなかで、
前回お伝えしました「ネット利回り」は、
ネット利回り=(年間家賃ー各種年間経費)÷取引金額」
=(不動産の)純収益÷取引金額
となりますので、
果実÷元本 のイメージになります。
したがって、ざっくりいえば、PERと不動産ネット利回りは
逆数の関係
になります。
ただ、それぞれに使っている数値の定義がいろいろと異なります。
PERでは純利益といえば営業外収益や特別利益が混じりますし
法人税も支払済です。
また、株価=時価です。
一方、不動産の純収益とは前回お伝えしましたように、
経費のなかに
金利
法人税(所得税)
減価償却費
人件費
は含まれていませんので、P/Lのなかのどの損益の額とも一致しないです。
また、(REITを除きまして)不動産自体がそもそも上場していませんので時価はなく、
元本の部分は時価ではなくていわゆる「直近で取引されうる金額」といったものになります。
例として、かなり乱暴な想定になりますが、
もしも不動産賃貸業だけを行っている
不動産保有会社が上場をしていて、
そのPERが20倍だとして、
不動産賃貸業以外の損益はなく、
PBR=1,人件費もゼロ、法人税も支払いがゼロ、減価償却費もゼロ、だとすれば
(そういうことはありえませんが)
その不動産のネット利回りは
PER=20倍、の逆数、
つまり
ネット利回り=5%
ということができます。
感覚的にはまったく遠い概念ではないということが分かると思います。