不動産を売却する主体と購入する主体との間で、
いろいろな「精算手続き」というものがあります。
実際に現場において、
①不動産オーナーが月末にもらう翌月分の家賃
②1年に1回または4回に分けて支払っている固定資産税
③マンションに支払っている管理費
について、月のなかごろで取引が成立したら
どのように精算しているのでしょうか。
たとえば3月7日に不動産の取引が成立して
権利が移転するとします。
①家賃
家賃ですが、
一般的には2月末までにはテナントより3月の1か月分の家賃
つまり31日間分の家賃を既に受けとっています。
でも3月7日以降の家賃を売主がもらってしまうのは
おかしいです。
よって、売主は買主に対して、
3月7日~3月31日までの「25日分の家賃」を計算して、
取引成立時にお金で渡しています。
(いずれの計算も、取引が成立した日そのものは、
既に買主に権利が移ったものとして計算します)
売買代金は買主から売主に流れますので、
この家賃の精算金額は逆の流れとして売買代金と相殺処理をしています。
②固定資産税(都市計画税を含む)
固定資産税は毎年1月1日に不動産を所有していた人に対して
市町村が1年間分の税額が記載された納税通知書を送付し、
その後に売却をしようがしまいが、
その通知書を受領した人が1年間分の納税義務を負います。
ですが、もしも3月7日に売却が成立したなら、
3月7日以降の税金も売主が支払うのはおかしいことになります。
よって、
売主は
1月1日から3月7日までの66日間分の納税額
を負担し、
買主は
3月8日から12月31日までの299日間分の納税額
を負担すべきなので、
299日間分の税金額を日割で計算して
買主から売主にお金で渡しています。
売買代金は買主から売主に流れますので、
この税金の精算金額は一緒の流れとして売買代金に加えています。
③マンションに支払っている管理費
マンションの管理費は一般に
不動産オーナーが管理会社に
月末までに次の月の管理費を支払っています。
もしも3月7日に売却が成立したなら、
3月7日以降の管理費も売主が支払うのは
おかしいことになります。
よって、買主は売主に対して、
3月7日~3月31日までの「25日分の管理費」を計算して、
取引成立時にお金で渡しています。
売主は
3月1日から3月7日までの7日間分の管理費
を負担し、
買主は
3月8日から3月31日までの24日間分の管理費
を負担すべきなので
24日間分の管理費を日割で計算して
買主から売主にお金で渡しています。
売買代金は買主から売主に流れますので、
この管理費の精算金額は一緒の流れとして売買代金に加えています。
このように、各項目の特性を理解して、
それぞれ商慣習としてきっちりと精算処理をしています。