不動産をお持ちの方が売却をして現金にしたいと思うとき、
買主が現れて金額が決まった場合でも、
即時に売却が成立するとは限りません。

買主は金額を提示する代わりに、必ず

・これがこうなっていること
・それについて問題ないこと
・あれはクリアしていること

などなどの「条件」を持っています。

よくあるものとしては、

・容積率や建ぺい率を守っていて
 建物の構造や消防上の問題などをクリアしていること
(一般的には建築・消防におけるそれぞれの「検査済証」があること)

・新耐震基準であること
(昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認申請の審査を受けて合法に立った建物)

・土地謄本記載の面積ではなく、
 隣地との境界確認を経て明確にした実際の面積(実測面積)が判明していること

・土壌汚染がないこと

・経年に応じた一般的な修繕が行われていること

・建物の中の家財が全部処分されていること

・すべてのテナントとの間で(口頭だけではなく)賃貸借契約が締結されていること

・その賃貸借契約が実際に受領している賃料と合致していること。

・家賃を払わず不法に建物内に占有しているものがいないこと

・その不動産に関するあらゆる係争や訴訟が生じていないこと

などがあります。コンプライアンスやデューデリジェンスに触れる話題が多いです。
(それぞれの資産の種類に応じて典型的な条件があります。)

こういった条件をいつでもクリアしておくと
「売りたい」と思ったときにすぐ売れるわけなのですが、
管理会社に運営管理を任せていたとしても
売却のための資料や準備が整っているとは限りませんので、
普段から一定の資料を整えておくに越したことはありません。

例えば土地の実測面積を判明させるには、
隣地所有者との境界線について疑義がないことが必要ですが、
長年にわたり境界線について隣地と揉めているなら、
すぐに実測面積をはじき出すことはできません。

いずれ売却をすることを意識している不動産については
売主としてこれらを早めに整えるという「仕事」を
完了させておくことが大事です。

なお、お金を借りるときに
金融機関が上記のような条件を要求してくるのは、
万が一、お金を貸してすぐに貸し倒れになった時でも
即座に転売して、貸したお金を回収する目的があります。