とあるM&A仲介さんからのご相談です。

「ある介護事業者さんが、
土地を購入し建物を建築発注して
介護施設を始めたがうまくいかず、
まずは介護施設を同業他社に賃貸し、
その後に不動産も売却して
事業から撤退してしまいたい」

というお話でした。

土地を所有していたり、
現金を潤沢に保有しているかたがスタートするときは
まだ良いのですが、
今回はその殆どを銀行からの資金調達に依存し、
開業後も募集活動と稼働率アップが
うまくいかず、
結局は大家業のように土地と建物を
介護事業者に賃貸することで
一旦は急場を凌いだ状態です。

ですが、これでうまくいっている状態とは
言えない状況です。

多くの介護施設の大家さんは
地主として祖先から土地を保有しており、
資金調達するのは建築資金のみ
というパターンが多いんですね。

こちらのかたは土地の取得資金から
融資を受けたため、
資金繰りが非常に悪い状態です。

しかも設備資金などは
不動産の担保でカバーができず、
ン億の設備資金を日本政策金融公庫から
借りるに至っていました。

ここからが大変です。

原価がかかりすぎていても、
テナント付きの売り物件は
あくまでも賃貸して得られる純収益からの
収益還元で計算するため、
ローンを全額返済できないような金額でしか
転売できない可能性が出てきています。

これをなんとかして売却するか、
または売却せずに
別の金融機関を探し出して、
もっと融資期間の長い
条件の良いローンに借り換えを試みる
必要があります。

多くの場合、売却か借り換えが
その解決策になります。

売却ができなくても良い血流であれば
なんとか賃貸業で時間稼ぎをすることが
できます。

すでに銀行から見れば
介護事業から賃貸業に変化しており、
直感的にいって利益率が落ちていますので、
ケースによっては
「債務不履行」や「期限の利益の喪失」を持ち出され
一括弁済を求められるような場合もあります。

ここでは現行の銀行とうまく交渉をしながら
時間を稼いでその間に
売却先を探索するか金融機関を探し出します。

不動産コンサルタントというよりは
金融コンサルタントまたは
銀行との交渉人みたいな仕事を進めている、
というのが実状ですね。